シルエット

ピーターは算数が好きだった。
シマウマの気持ちが知りたくて、よく丘の上まで競争した。
夕暮れにいつもと同じように鹿を散弾銃で撃ち殺してからゆっくりと捌く父の後姿が、ふいによみがえってきた。
夕焼けに照らされた父のシルエットはやけに黒い色をしていて、何かが蠢いていた。
「マイケル起きろ、荷物をまとめるんだ」
声が聞こえた。
まだ、目を開けたくなかった。
ピーターのいなくなった世界で目を覚ますにはとても時間がかかる。
あの声が聞きたい。

2006 12 10